めんたいこ日記

鯨井可菜子が短歌について書くところ

前に進むために/短歌研究2023年4月号特集「短歌の場でのハラスメントを考える」に関して

※鯨井個人の文責によるものです。 4月22日土曜日、駅前商店街のガストに腰を落ち着け、私はようやくそれを読むことに取り掛かりました。 「短歌研究」2023年4月号特集「短歌におけるハラスメントを考える」です。 もう我が家には、自分も寄稿した5・6月合併…

ようこそ、話し合いのテーブルへ/平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』(本阿弥書店,2021)感想

私がそのテーブルにつく理由 〈わたし〉と〈きみ〉のイノセンス 天国のことを見てきたように 私がそのテーブルにつく理由 平岡直子の短歌について、私は以前から「綺麗だなぁと思ってショーウインドウに近寄ったつもりが、いつの間にか話し合いのテーブルに…

【ネタバレなし版】恋がしたくなるか?否。でも、パン屋に駆け込むことになる〜錦見映理子『恋愛の発酵と腐敗について』について

恋愛の発酵と腐敗について 作者:錦見映理子 小学館 Amazon 錦見映理子さんの小説『恋愛の発酵と腐敗について』(小学館)は、太宰治賞受賞作である『リトルガールズ』に次ぐ2作目。『リトルガールズ』が大好きだったので、AppleBooksでの配信版も楽しみに読…

無色の焔と、消えない星〜第66回まひる野賞受賞作品 佐巻理奈子「職を失う(原題:スター)」に寄せて

歌友の佐巻理奈子さんが、所属の「まひる野」で第66回まひる野賞を受賞されました。なこちゃん、本当におめでとう! 「まひる野」に掲載の作品を読ませていただいて、とってもよかったので、少しだけ感想を書きたいと思います。(以下、である調)。 * 箱テ…

『別冊北山あさひ』収録エッセイ全19編ライナーノーツ

大変お待たせいたしました。『別冊北山あさひ』、期間限定で自家通販を開始しました。 *まずは2021/2/14までの受付としております!是非この機会に! docs.google.com さて、この記事では、収録した19編のエッセイ・散文について書きます。この別冊作成にと…

黒瀬珂瀾『ひかりの針がうたふ』評/〈欠落〉と〈余剰〉にみる父性

黒瀬珂瀾さんの歌集『ひかりの針がうたふ』(書肆侃侃房)を読みました。ちぎった紙で波を表現した装丁が素敵です(山階基さんによるもの)。 私が福岡にいるときにとてもお世話になった、からんさん。私が福岡を離れ、その後からんさんも離れ、だいぶ時間が…

『別冊 北山あさひ』のこと

『別冊 北山あさひ』は、2020年11月、北山あさひ第一歌集『崖にて』(現代短歌社)刊行を記念して、北山オタクの私と佐巻理奈子さんがまとめた冊子です(樋口智子さんいわく、「公式ファンブック」)。そうそうたる歌人のみなさまが寄せてくださった一首評と…

「私が好きな北山あさひの歌」〜ゆかりの歌人31名によるお祝い一首評企画

ひさしぶりにブログを書きます。今年せっかく評を書くブログを作ったのに、その後、いきなり推しができてしまい人生が変わりオタクブログを作りそればっか書いてました(既に記事が数千字×50本以上あります…) しかしこれは一大事です。私の短歌における最推…

水上芙季の霞が関詠 職場詠あつめ004

セリフの鮮度 水上芙季は「コスモス」に所属している。第二歌集『水底の月』のあとがきによれば、水上は厚生労働省の非常勤職員であるという。『水底の月』ではその厚労省を舞台にした職場詠が魅力的だ。 「入口に狂犬病のポスターが貼ってあるから、そこが…

北山あさひの踊るテレビ局 その3(余談)・職場詠あつめ003

北山の職場詠について2本書いた。残りは、「忘年会」の歌を引いたうえで、すこし余談。 kujirai-kanako.hatenablog.com kujirai-kanako.hatenablog.com 一生の仕事ではなく、だとしたら途中から樹になっていいかな 北山あさひ「アイスコーヒー」 ネットプリ…

北山あさひの踊るテレビ局 その2・職場詠あつめ002

前回、北山あさひの職場詠(テレビ局/大学病院治験部門)について書いた。 kujirai-kanako.hatenablog.com 昨年末、北山が1年間の「まひる野」掲載歌などを集めたネットプリント「忘年会」を出したので入手した。 9月に起こった胆振東部地震が記憶に新しく…

希望を持ってもよい、という希望―錦見映理子『リトルガールズ』評

リトルガールズ (単行本) 作者: 錦見映理子 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/11/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 年末、旅行の道中に読んだらあまりの良さにぼおっとしてしまいしばらく言葉が出てこなかった。 小田…

北山あさひの踊るテレビ局 その1・職場詠あつめ001

ことあるごとに北山あさひの短歌が好きだと公言しているが、 なかでも職場詠は、北山のよさが生きるジャンルだと思っている。 「震度7!震度7!」と叫んでる桜田そんな声が出るのか これやばいこれはやばいよ日テレの独占だよってお前黙れよ 「まひる野」2…

ごあいさつ

鯨井可菜子です。 「かばん」会員を経て現在は「星座」という結社に所属しています。歌集が1冊あります。 そういえば今年でやっと歌歴10年です。 タンジブル (新鋭短歌シリーズ2) (新鋭短歌 2) 作者: 鯨井可菜子 出版社/メーカー: 書肆侃侃房 発売日: 2013/…